知人の車に覚醒剤が…②覚醒剤所持の故意

~昨日のコラムの続き~

昨日のコラムでは覚醒剤所持罪について解説しました。
そこで本日のコラムでは、覚醒剤所持罪の「故意」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

覚醒剤所持の故意

所持罪が成立するためには「故意」つまり、覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していること、が必要となります。
他人の覚醒剤を所持していたケースでは、「自分のために置いていたのではない!」といった故意否認をすることが多くあるようです。
しかし、覚醒剤所持罪の成立には、積極的に覚醒剤を自己または他人のため保管する意思、自ら所有し又は使用、処分する意思などは必要でなく、ともかく覚醒剤と知りつつ自己の実力的支配内に置けばそれだけで所持罪は成立すると解されます。

今回の事件の場合、そもそもAさんは、知人から修理を頼まれた車を運転していただけで、その車の中に覚醒剤があることなど知らなかったでしょうから、当然、覚醒剤所持故意はなかったと認められるでしょう。
ただ現場でAさんは、真実を警察官に言わずに「知らない」と言い続けて、車の所有者である知人のことも黙っていたようですので、その現場の状況証拠から、現行犯逮捕されたと思われますが、その後取調べで真実を供述すれば不起訴となって釈放されるでしょう。

ところで、もし白色の粉末を所持している認識はあるものの、その白色の粉末が「覚醒剤」であるとまでは認識していなかった場合はどうなるでしょうか?
これについては、所持していた物が「覚醒剤」であることを少なくとも未必的には認識・認容している場合は、覚醒剤所持の故意が認められてしまいます。
つまり、所持していた物が「覚醒剤である」と確信していた場合のみならず、「覚醒剤かもしれない」「なんらかの有害で違法な薬物かもしれない」との認識・認容を有していた場合も覚醒剤所持罪でいうところの「故意」は認めるでしょう。

大阪の薬物事件に強い弁護士

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