知人の車に覚醒剤が…①覚醒剤取締法違反で逮捕

知人の車から覚醒剤が発見されたとして、覚醒剤取締法違反で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

参考事件

自動車整備業を営むAさんは、知人から、車の修理を頼まれて大阪府松原市にある知人の家に車を取りに行きました。
そして整備工場までその車を運転して行っている途中に、信号無視をしてしまい、取締り中の警察官に呼び止められました。
そしてその際に車内検索されて、助手席のダッシュボードに入っていたポーチの中から覚醒剤が発見されたのです。
知人の名前を出すと、その知人が警察に逮捕されると思ったAさんは、警察官に色々と問い質されましたが「知らない」と言い続けたところ、Aさんは、覚醒剤取締法違反(所持罪)現行犯逮捕されました。
(フィクションです)

覚醒剤所持罪について

覚醒剤取締法では、覚醒剤の所持や使用、譲渡、譲受、密輸入等、様々な規制がなされています。
その中で覚醒剤の所持については、覚醒剤取締法第14条に規定されており、その内容は以下のとおりです。

第14条 
覚醒剤製造業者、覚醒剤施用機関の開設者及び管理者、覚醒剤施用機関において診療に従事する医師、覚醒剤研究者並びに覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者の外は、何人も、覚醒剤を所持してはならない。
2 次の各号のいずれかに該当する場合には、前項の規定は適用しない。

一 覚醒剤製造業者、覚醒剤施用機関の管理者、覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者の業務上の補助者がその業務のために覚醒剤を所持する場合

二 覚醒剤製造業者が覚醒剤施用機関若しくは覚醒剤研究者に覚醒剤を譲り渡し、又は覚醒剤の保管換をする場合において、郵便若しくは民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第二項に規定する信書便(第二十四条第五項及び第三十条の七第十号において「信書便」という。)又は物の運送の業務に従事する者がその業務を行う必要上覚醒剤を所持する場合

三 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師から施用のため交付を受ける者の看護に当る者がその者のために覚醒剤を所持する場合

四 法令に基いてする行為につき覚醒剤を所持する場合

以上の内容から、覚醒剤所持罪は
①覚醒剤を
②みだりに
③所持すること

によって成立するのがわかります。

「①覚醒剤」とは、覚醒剤取締法第2条第1項によると「フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類や、これらと同種の覚せい作用を有する物であつて政令で指定するものや、これらのうちの何れかを含有する物」です。
ここでいう「②みだりに」とは、社会通念上正当な理由が認められないことを意味します。
続いて「③所持」の基本的な概念について、判例によれば、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうのであって、その実力支配関係の持続する限り所持は存続するものというべく、かかる関係の存否は、各場合における諸般の事情に従い社会通念によって決定されるものである」と解されます。(最大判昭30・12・21)

~明日のコラムに続く~

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