盗品の電動自転車用バッテリーを買取ったとして、盗品等有償譲受罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
事件内容
Aさんは、大阪市鶴見区でリサイクルショップを経営していますが、数カ月前にお店で買い取った電動自転車のバッテリーが盗品だったらしく、大阪府鶴見警察署に逮捕されてしまいました。
Aさんは、盗品と知らずにバッテリーを買い取っていたものの、この事を警察は信じてくれません。(フィクションです。)
盗品等の罪
人の物を盗むと窃盗罪(刑法第235条)となることは皆さんご存知かと思いますが、窃盗事件等で盗まれた盗品等をもらったり、買い取ったりすれば盗品等の罪で刑事罰を受ける可能性があります。
盗品等の罪は、刑法第256条に規定されており、その内容は以下のとおりです。
刑法第256条
1 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。
条文を解説する前提として、まず規制の対象となる盗品等についてですが、この法律でいうところの「盗品等」とは、窃盗や詐欺、横領、そして強盗や恐喝などの財産犯罪の被害品を意味しています。
そして盗品等の罪の主体となるのは、この財産犯罪を犯した犯人以外の者です。
この条文を解説すると、まず1項は、盗品等を無償で譲り受ける行為を規制している「盗品等無償譲受罪」が定められています。
盗品等無償譲受罪には罰金の罰則規定が定められていないのが特徴で、その法定刑は「3年以下の懲役」です。
そして2項では、盗品等を運んだり、保管したりすることを規制した「盗品等運搬罪」や「盗品等保管罪」と、盗品等を買い取ることを規制した「盗品等有償譲受罪」について定められています。
今回の逮捕された男は、この盗品等有償譲受罪で逮捕されたようです。
2項で規定されている犯罪行為によって有罪が確定した場合の罰則は「10年以下の懲役及び50万円以下の罰金」と、懲役刑と罰金刑の両方が科せられる非常に珍しい法定刑が定められているのが特徴です。
盗品と知らなかったら…
仮に盗品と知らずに、刑法第256条に規定されている行為をした場合はどうなるのでしょうか。
その場合は、刑事責任を負うことはないでしょう。
ただ、ここでいう「知らない」とは、『盗品だなんて想像もしていなかった。』というレベルでなければならず、少しでも「盗品かもしれないな・・・」という認識があれば、どこでどのような犯罪によって得られた盗品等であることまでの認識がなくても盗品等の犯罪が成立する可能性があるので注意が必要です。
まずは弁護士に相談を・・・
盗品等の罪は、故意、つまり盗品等の認識の有無が争点となることがよくありますので、盗品等の罪で警察の捜査を受けている方は、取調べを受ける前に弁護士に相談することをお勧めします。
また既に逮捕されてしまった方へは、弁護士を派遣する初回接見サービスもご利用いただけますので、刑事事件に強い弁護士のご用命は、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。