甲子園球場で野球観戦した暴力団組員が建造物侵入罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
今月8日、阪神甲子園球場で行われたプロ野球の試合を観戦したとして、大阪市内に住む暴力団員2名が、建造物侵入罪で逮捕されました。
(4月25日付け、報道各社の記事を参考)
このニュース記事を読んだ方のほとんどは
「えっ!暴力団組員が野球を観戦しただけで逮捕されるの?」
と驚いたのではないでしょうか?
そこで本日のコラムでは、この事件を解説すると共に、弁護士の見解をご紹介します。
建造物侵入罪
今回暴力団組員が警察に逮捕された容疑は「建造物侵入罪」です。
建造物侵入罪とは、刑法第130条に規定されている犯罪で、簡単に言うと「人の看守する建造物に不法に立ち入ったらだめですよ」という法律です。
甲子園球場は、この法律でいうところの「建造物」に当たるということですね。
ところで「きちんとチケットを購入しているのであれば問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、実は甲子園球場は、ご来場時の注意事項で、『暴力団やこれに類する反社会的団体所属者及びこれらと密接な関係を有する者』の入場を禁止する旨を公表し、入場門前などには「暴力団関係者お断り」と表示しています。
つまり例え正規に購入したチケットを利用していたとしても、暴力団組員が甲子園球場内に立ち入れば、それは管理者の意に反し、不法侵入したとみなされてしまうのです。
建造物侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。
今回逮捕された暴力団組員が起訴されて有罪となった場合は、この法定刑内の刑事罰が科せられることになります。
弁護士の見解
報道によりますと、逮捕された暴力団組員は「ヤクザがプロ野球を見に行ったらいけないとは知らなかった」と供述していたようです。(参考記事は こちら )
この供述からすると、逮捕された暴力団組員は、建造物侵入罪を犯していることを認識していなかった、つまり犯罪の故意がないという主張になります。
当然、建造物侵入罪は故意犯となるので、暴力団組員の主張が認められた場合は建造物侵入罪が成立する可能性は低いでしょう。
ただこの主張が認められなかった場合、つまり逮捕された暴力団組員が上記した注意事項を把握していたとなれば、建造物侵入罪だけでなく詐欺罪(2項詐欺)が成立する可能性もあります。
実際にこれとよく似た事件で、会員約款等で暴力団関係者の施設利用を拒絶する旨規定があるゴルフ場において、ゴルフをした暴力団組員が詐欺罪で有罪判決を受けたことがあるのです。
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