生活保護の不正支給 背任罪で区役所を捜索

大阪府警は、生活保護の支給審査を怠り、生活保護を不正支給し市に損害を与えたという背任罪の容疑で、堺市内の区役所を捜索しました。
生活保護の不正受給で、支給を受けている側の人間が詐欺罪等で逮捕される事件はよく耳にしますが、今回は、支給した役所側が背任罪で立件されるという極めて珍しい事件です。
本日のコラムでは、この事件を参考に「背任罪」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

参考事件(3月13日に配信のMBSNEWSから引用)

今回の事件は、昨年堺市の集合住宅で男性を殺害したとして警察に逮捕されている男に対して、区役所の職員らが生活保護費を不正に支給したという背任事件です。
記事によりますと、区役所の職員は、支給するかどうかを判断するのに必要となる調査を怠り、男に対して生活保護費の一部にあたる運転免許の取得費用を不正支給し、市に約30万円の損害を与えた疑いがもたれています。

「背任罪」ってどんな罪

背任罪は、刑法第247条に規定されている法律で、財産上の事務処理を任された人が、自分又は第三者の利益のため又は事務処理を委託した本人に損害を与える目的で、その任務に反する行為をして、本人に損害を与えることで成立する犯罪です。

刑法第247条(背任)
自己もしくは第三者の利益を図りまたは本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

横領罪詐欺罪はよく聞きますが、背任罪はあまり聞きなれない罪名です。
その内容も複雑で、背任罪が成立するための構成要件は

  • 他人のためにその事務を処理する者
  • 自己もしくは第三者の利益を図りまたは本人に損害を加える目的
  • その任務に背く行為
  • 本人に財産上の損害を加えたとき

です。

特別背任罪

背任罪とは別に「特別背任罪」という法律があります。
これは刑法ではなく会社法に定められている法律で、会社の取締役など一定の地位にある人が背任行為を行った場合に成立する犯罪です。
皆さんの記憶にもあるかと思いますが、日産自動車の会長だったカルロス・ゴーンは、この特別背任罪の容疑で逮捕されています。
特別背任罪は、法定刑が厳罰化されており「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれを併科する」となっています。

刑事事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、背任罪等の刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
大阪府内にお住いの方で、刑事時事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が提供する 無料法律相談  初回接見サービス をご利用ください。

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