拘禁刑の創設 懲役刑と禁錮刑が一本化

昨日(13日)の参議院本会議で、懲役刑と禁錮刑が一本化して『拘禁刑』が創設されることが可決、成立しました。
本日のコラムでは、この刑法改正について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

刑法や道路交通法等の特別法や、各都道府県が定めている条例では様々な規制がされていますが、法律や条例で規制(禁止)されていることをしてしまうと刑事罰が科される可能性があります。
刑事罰については刑法第9条に明記されているとおり「死刑、懲役禁錮、罰金、拘留、科料(付加刑として没収)」が定めらています。
今回の改正で一本化されるのはこの中の「懲役刑」と「禁錮刑」です。

懲役刑とは

刑事施設に拘置され、その中で刑務作業を強いられる刑罰です。
有期懲役は1ヶ月から20年までが原則ですが、併合罪などに刑を加重する場合や、死刑や無期懲役を軽減する場合は、30年におよぶ場合もあります。

禁錮刑とは

刑事施設に拘置されるという点では懲役刑と同じですが、懲役刑で強いられる刑務作業は希望者のみで強制はされません。
禁錮刑は、一部の過失犯や、内乱罪などの政治犯などに規定されています。
禁錮刑の期間は、懲役刑と同じく、有期の場合は1ヶ月から20年までが原則ですが、併合罪などに刑を加重する場合や、死刑や無期懲役を軽減する場合は、30年におよぶ場合もあります。

拘禁刑

刑法が改正されると懲役刑と禁錮刑が廃止されて新たに『拘禁刑』が創設されます。
拘禁刑が創設される背景には、再犯状況の悪化と受刑者の高齢化があるようで、導入後は、薬物依存や性犯罪などの矯正プログラムに時間を割いたり、出所後を見据え、高齢者に体力などを向上させるリハビリを重点的に施したりできるようになります。
この取り組みは、受刑者の年齢や特性に合わせて、刑務作業と指導を柔軟に組み合わせた処遇を行えるようにして、更生や再犯防止につなげる狙いがあるようです。

ちなみに、明治40年に刑法が制定されてから、刑の種類の変更は初めてで、施行されるのは2025年の見込みです。

~明日は、拘禁刑の創設共に改正される『侮辱罪』について解説します。~

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