売上金を横領したとして、業務横領罪で店長が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
参考事件
Aさんは、全国にチェーン展開する大手外食産業で店長をしていましたが、売り上げを本部に過少申告し、その差額を、売上金を保管している金庫から抜き取る手口で、横領を繰り返していました。
そして1ヶ月ほど前に横領行為が会社に知れてしまうことになり、その後の会社の調査で横領額は600万円にも及びことが発覚したのです。
すでに横領したお金を全て使い果たしていたAさんは、その後、大阪府東警察署に業務上横領罪で逮捕されてしまいました。(フィクションです。)
売上金を着服
自己の占有する他人の物を着服すると「横領罪」となります。
そして着服した物が、業務上占有していた場合は「業務上横領罪」となります。
刑法第252条1項(横領罪)
自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
刑法第253条(業務上横領罪)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
今回の事件、元店長が横領したのは、お店で保管していたお店の売上金です。
まずお店の売上金は、店長の物ではなく、そのお店を管理運営する会社の物です。
そして店長は、その売上金を保管、管理する立場にあるでしょうから、元店長が着服した売上金は、業務上横領罪でいうところの「業務上自己の占有する他人の物」に当たるでしょう。
ですから元店長の行為が「業務上横領罪」に該当することは間違いないでしょう。
ちなみに、もし売上金を着服したのが店長ではなく、単なるアルバイトだった場合はどうでしょう。
おそらくアルバイト従業員に、お店の売上金を保管、管理する権限は与えられていないでしょうから、業務上横領罪ではなく、刑法第235条に規定されている「窃盗罪」が適用されるでしょう。
業務上横領罪の量刑
業務上横領罪の法定刑は、10年以下の懲役です。
業務上横領罪の法定刑には、罰金刑が規定されていないので、起訴されて有罪が確定した場合、執行猶予を得ることができなければ実刑判決となり、刑務所に服役しなければなりません。
実刑判決を免れるには・・・
業務上横領罪で起訴されて有罪が確定した場合、どういった刑事罰が科せられるかは、横領額と被害弁償の有無が大きく影響します。
横領額が100万円を超えて、被害弁償がない場合は初犯であっても執行猶予を獲得できる可能性が低くなると言われています。
ですから実刑判決を免れるためには、いかに被害弁償できるかにかかっています。
すぐに弁償できない場合でも、支払計画を立て、弁償を約束することによって、会社側と示談を締結できることもあるので、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
業務上横領事件の弁護活動に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、業務上横領事件に関する法律相談を初回無料で受け付けております。
無料法律相談をご希望のお客様は
フリーダイヤル 0120-631-881
までお電話ください。