昨日、大阪府八尾市において、盗難車両として手配されている乗用車に乗車していた男に対して、警察官がけん銃を発砲し、運転していた男が死亡する事件が発生しました。
本日のコラムでは、この事件を弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
事件内容(1月13日に配信されたNHK NEWS WEBを引用)
報道各社のニュース内容をまとめますと、今回の事件は、大阪府八尾市亀井町において発生しました。
パトカーで巡回していた警察官2名(大阪府八尾警察署地域課の警部補と巡査長)が、盗難車両として手配されている乗用車を発見し、追跡後に、運転者に対して職務質問を試みたようです。
しかし盗難車両を運転していた男性は、警察官の職務質問に応じようとせず、逃走しようとパトカーに衝突するなどしたため、警察官は警告の後に、けん銃を発砲したとのことです。
2人の警察官は、それぞれ2発ずつ、合計4発発砲しており、少なくともこのうち1発が男性に命中したとのことで、被弾した男性は、その後一度は盗難車両を発進させましたが、すぐに電柱に衝突して停車し、その後、公務執行妨害罪で現行犯逮捕されました。
逮捕された男性はすぐに釈放されてドクターヘリで病院に搬送されましたが、その後死亡が確認されたとのことです。
盗難車両
死亡していた男性が乗車していた乗用車は盗難手配されていたようです。
警察は、所有者等から自動車盗の被害届を受理すると、そのナンバーを一斉に手配します。
盗難事件発生直後ですと、街中で巡回中の警察官の無線に一斉にそのナンバーが配信されますが、それ以降は、警察官がナンバーを照会しなければ盗難車両であることが分かりません。
しかし盗難車両のナンバーは、全国の幹線道路に設置されているNシステムにも、一斉に登録されるので、事件後、盗難車両がNシステムを通過すれば、周辺にいる警察官にその旨が配信されるようにもなっているようです。
このようにして警察は、盗難車両を発見すると共に、窃盗犯人を捕まえているようですが、今回の事件で、警察官がどういった経緯で盗難車両であることを把握したのかまでは明らかになっていません。
盗難車両を運転していると…
ところで今回の事件のように盗難車両を運転していると、当然、警察官に職務質問されるでしょうが、盗難車両を運転していたからといって、窃盗犯人であるとは限らないので、警察官は、盗難車両を運転していた人を見つけたからといって、窃盗罪ですぐに逮捕する事はできません。
(今回の事件の場合は、パトカーに車を衝突させた公務執行妨害罪で現行犯逮捕されている。)
警察官のけん銃発砲
街中で合法的にけん銃を所持できるのは、私が思い当たる限りでは警察官しかいないのではないでしょうか。(麻薬取締官や海上保安庁の職員など、司法警察員の身分があり、武器の所持が認められている職にある人を除く)
当然、けん銃は非常に高い殺傷能力がある武器ですので、警察官であってもその使用が非常に厳しく制限されています。このような事件が発生すると、必ずと言っていいほど警察は、けん銃の使用が適正だったかどうかの見解を発表しています。
今回の事件で大阪府警は「現在調査中」と発表しているようです。