【少年事件】暴行事件の簡易送致

2020-07-17

【少年事件】暴行事件の簡易送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

◇暴行事件の簡易送致◇

枚方市の中学校に通うA君(15歳)は、担任教師に身だしなみを注意されたことに腹を立て、担任教師の顔面を殴りつける等の暴行をはたらきました。
この事件で、担任教師は大阪府枚方警察署に被害届を提出し、A君は暴行事件の被疑者として捜査を受けることになりました。
A君が警察に呼び出されたことで事件を知った両親は、担任の教師に謝罪すると共に、少年事件に強い弁護士に今後の対応を相談し、A君の刑事弁護人として選任しました。
この弁護士が担任教師との示談が成立させたところ、A君は、警察から検察庁に簡易送致されました。
(フィクションです。)

◇暴行罪◇

まずA君が起こしてしまった「暴行罪」とはどんな罪なのでしょうか?
暴行罪は刑法208条に規定されています。

刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいうとされています。
殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなど人の身体に直接触れる行為が暴行の典型ですが、それに限らず

・着衣を強く引っ張る行為
・胸ぐらをつかむ行為
・人に向かって石やガラスコップを投げる行為、棒を振りかざす行為
・毛髪をはさみなどで切断する行為
・教室内で金属棒を振り回す行為

なども暴行に当たるおそれがあります。

暴行罪には「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」という刑罰にが規定されています。
しかし、少年(20歳未満の者)が暴行罪を犯したからといって、直ちにこれらの刑罰を科されるわけではありません。

成人の場合は、捜査(逮捕、取調べなど)→起訴→裁判→有罪→刑罰という流れをたどります。
しかし少年の場合は、捜査→家庭裁判所送致→少年審判→保護処分(少年院送致、保護観察など)という流れをとどることが一般的です。
また、少年審判は必ず開かれるものではありません。
家庭裁判所送致後の調査で、少年審判に付することができず、又は少年審判に付するのが相当でないと認められる場合は少年審判は開かれません。

◇家庭裁判所への送致◇

それでは、少年事件の捜査から家庭裁判所送致までの流れをご説明します。

捜査機関は少年事件について捜査を遂げた結果、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料されるときは、すべての少年事件を家庭裁判所へ送致しなければなりません。
これを「全件送致主義」といいます。

事件が家庭裁判所へ送致されるのは、警察から直接、家庭裁判所へ送致される場合と、いったん警察から検察庁に送致され、検察庁から家庭裁判所に送致される場合の二通りがあります。
警察から直接家庭裁判所に直接送致される事を「直送」と言う場合があります。
直送される事件は、過失傷害罪(30万円以下の罰金)、軽犯罪法違反(拘留、又は科料)など、法定刑が「罰金以下の刑に当たる罪」に限られます。
もう一方の、警察から検察庁を経て家庭裁判所へ送致される事件は、法定刑に罰金刑が規定されていても、選択刑として懲役刑が規定されている事件です。
暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」ですから、警察の捜査を終えると検察庁を経て、送致されることになります。

◇少年事件の簡易送致制度◇

ただ事案が軽微で、少年の保護の必要のない事件についてまで一律に同じ手続きで家庭裁判所に送致されてしまうと、少年にとっても負担ですし、保護善導する上でも効果的とはいえません。
また、多くの事件を取り扱う捜査機関の負担にもなってしまいます。
そこで、一定の基準を満たす少年事件については、簡易送致制度に基づき簡易送致手続が行われています。
これは、被疑少年ごとに少年事件簡易送致書という書類を作成し、直送事件の場合は直接家庭裁判所へ、直送事件でない場合は検察官へ送致する手続きです。

簡易送致の事件については、は犯罪捜査規範第214条に規定されており、この条文を要約すると、簡易送致の対象は

・事実が極めて軽微であること
・犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがないこと
・刑事処分、保護処分を必要としないと明らかに認められること
・検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定された事件であること

の条件を満たす必要があります。

◇少年事件に強い弁護士◇

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