威力業務妨害罪・偽計業務妨害罪

具体例

ケース1

Aさんは、大阪府大阪市の大正駅近くにある公立高校の入学式に来賓として出席しました。
Aさんは、入学式が始まる前に出席者にビラを配ったり、大声を出して国歌斉唱の際は起立しないように呼びかけたりしました。
その際、学校の教頭がAさんを制止しましたが、Aさんはこれに従わず上記の行為をしていました。

Aさんの行為は犯罪として罰せられるのでしょうか?

(問題となる条文)
【威力業務妨害罪(刑法234条)】
「威力を用いて」「人の業務を」「妨害した」場合、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」になります。

(解説)
今回のケースでは、Aさんが上記の行為で公立高校の入学式の開催を妨害しました。

公立高校の入学式の開催は、公務員である公立高校の教員らによって行われる職務上の行為ですので、公務と言えますから、見方によっては、公務執行妨害罪の方向で考えるべきなのかもしれません。

しかし、今回、Aさんがビラを配ったりする行為は、公務員に対する公務執行妨害罪の暴行・脅迫には当たらないと考えられます。
Aさんが暴行又は脅迫に当たる行為をしていない以上、公務執行妨害罪の成立は認められません。

そこで、威力業務妨害罪の成否が問題となります。
今回問題となるのは、Aさんの行為が「威力を用いて」という要件を満たすかという点と公立高校の卒業式の開催が「業務」に当たると言えるかという点です。
 
「威力」とは、人の意思を制圧するに足りる勢力のことを指します。
「威力」にあたると裁判で認められた例として、株主総会で怒号を放つ行為や漁業用の網を切断し中の魚を逃がす行為などが挙げられます。
今回は、入学式の前に大声で騒いだりしており、人の意思を制圧したと言ってよいでしょう。

次に公立高校の入学式の開催が業務と言えるかという点ですが、実務では「業務」の中には強制力を発揮できない公務も含んでいると解されています。
例えば、役所の事務行為などです。ですから、公立高校の入学式開催もここでいう「業務」に含まれるといっていいでしょう。

以上より、Aさんの行為は、威力業務妨害罪に当たると言えそうです。
 

ケース2

大阪府堺市、なかもず駅近くで飲食店を経営しているAさんは、近所のライバル店の売上げを低下させようと、その店の入り口に「本日休業」の張り紙をしました。

Aさんの行為は犯罪になるのでしょうか?

(問題となる条文)
【偽計業務妨害罪(刑法233条)】
「偽計を用いて」「業務」「妨害した」場合、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」になります。

(解説)
「偽計」というのは、人を騙すことや人の不知・錯誤を利用することを言います。

例えば、虚偽の電話注文で配達させる行為や客としてATMを利用する意思がないのに長時間一般客を装ってATMを占拠する行為などです。

今回のAさんは、ライバル店が本当は営業中であるのに休業中であるかのように装い、客の来店を妨げることによって営業を妨害したものと言えます。
ですから、Aさんの行為は偽計業務妨害罪に当たると言えるでしょう。
 

業務妨害事件における弁護活動

1 真犯人・アリバイの存在を主張する

人違いの場合など、全く身に覚えがないのに業務妨害事件の容疑者として捜査対象にされてしまう場合があります。

このような場合、弁護士はアリバイや真犯人を示す証拠を提出したり業務妨害罪が成立したことを証明するに足りる証拠が不十分であることを主張したりして、無罪判決や不起訴処分などを勝ち取り、依頼者の方を守ります。
 

2 職務行為が違法であることを主張する

業務妨害事件では、相手方の業務が違法又は正当な業務ではない場合、妨害行為の態様によっては威力又は偽計業務妨害罪が成立しない可能性があります。

業務妨害事件において、妨害行為が悪質ではなく妨害行為の相手方の業務に違法・不当な疑いが生じた場合、弁護士はその点を徹底的に追及し業務妨害の無罪判決・不起訴処分の獲得を目指します。
 

3 被害弁償や示談成立で早期解決

業務妨害罪の場合、被害者に対して相応な被害弁償をしたり、示談を成立させたりすることで事件の早期解決を図ることができるかもしれません。

被害届が提出される前であれば、刑事事件として警察が介入することを防止できます。

また、すでに刑事事件として捜査機関が捜査などを行っている時点であっても、逮捕・勾留による身柄拘束から解放されることができますし、被害や社会的影響が軽微であるなどの事情があれば、不起訴処分となり前科を避けることができるかもしれません。

 

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