痴漢

具体例

ケース

会社員Aさんは、通勤途中大阪府内の地下鉄御堂筋線を走行中の電車の中でたまたま目の前で背を向けて立っていた女性の右太ももを10分間にわたって撫で続けました。
被害女性は、自分が降車する駅に到着する直前自分の右太ももを触っていたAさんの手を掴み、Aさんとともに電車を降りました。

Aさんは、どういう罪で処罰されると言えるでしょうか?

(問題となる条文)
【大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(いわゆる迷惑防止条例)違反】
「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で」「公共の場所又は公共の乗物において」「衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること」(本条例6条1号)をした場合、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」(本条例16条1項1号)になります。(ただし、他の都道府県では条例の内容が異なる場合がありますのでご注意ください。)
  
【強制わいせつ罪(刑法176条)】
「13歳以上の男女に対し」「暴行又は脅迫を用いて」「わいせつな行為をした」場合、及び「13歳未満の男女に対し」「わいせつな行為をした」場合、「6カ月以上10年以下の懲役」になります。

(解説)
今回のケースでは、Aさんが被害女性の太ももを触り続けていたことは明らかですから、Aさんの行為が痴漢行為であるということはわかると思います。

しかし、痴漢行為を罰する規定については、3点注意すべき点があります。

まず1つ目は、いわゆる痴漢行為を罰する規定が2つあり、実務上それらを使い分けているということです。
一つは迷惑防止条例違反により罰する方法、もう一つは刑法の強制わいせつ罪として罰する方法です。
これらは、法律上明確に区別されているわけではありませんが、接触行為の強度や相手方に与える恥辱感の大きさを基準として判断します。
具体的には、無理矢理キスしたとか下着の中に手を入れて触るといった態様の痴漢行為は、強制わいせつ罪として処罰されます。
一方、単に身体を触るだけの場合は、迷惑防止条例違反として処罰されるのが一般的です。

もっとも、身体に触れるという行為も態様によっては、強制わいせつ罪に当たりえます。
例えば、服の上から触るとしても、無理矢理胸や尻を揉むといった行為は、接触行為の強度が強いと言え、強制わいせつ罪になることが多くなります。

強制わいせつ罪として起訴された場合、罰金刑はありませんから正式裁判となり、身柄拘束が長期間にわたって行われてしまいます。
その点で、いずれの規定が適用されるかは大きな問題なのです。

2つ目は、強制わいせつ罪が親告罪であるのに対し、迷惑防止条例違反は親告罪ではないということです。
これは、加害者を罰するのに被害者の告訴が必要か否かという点で大きな違いを生みます。

強制わいせつ罪は親告罪なので、被害者の告訴があって初めて刑事裁判を行うことができるのです。
一方、被害者の告訴が不要な迷惑防止条例違反の場合、被害者の告訴がなくとも刑事裁判を経て加害者を罰することができます。
したがって、いずれの規定違反が問題となるのかは、具体的な刑事手続きの進行及び弁護活動に大きな違いをもたらします。

3つ目は、強制わいせつ罪の成立要件は被害者の年齢によって異なるということです。
被害者が13歳未満の場合、暴行・脅迫を用いなくとも強制わいせつ罪が成立します。
すなわち、被害者が13歳未満の場合、同意の上での行為であっても処罰されることになります。
 

痴漢事件における弁護活動

1 痴漢冤罪であることの主張

痴漢行為をしていないにもかかわらず、痴漢の犯人に間違われ有罪判決を受けてしまう事件が、近年多数発生しています。

特に満員電車などの混雑した場所や明りの少ない夜道など暗い場所では、被害者が偶然の身体的接触を痴漢行為と勘違いしてしまったり、犯人ではない人を犯人と見間違えてしまったりして痴漢冤罪が発生しやすいと言えます。

また、痴漢冤罪を生み出す大きな原因として、逮捕された人が嘘の自白をしてしまうことも挙げられます。
もし自分が痴漢の犯人に間違われてしまったらすぐに弁護士に相談してください。
速やかに疑いをかけられた方のもとに駆け付け、痴漢冤罪を生み出さないよう、的確なアドバイスを行います。

さらに痴漢事件では、特に被害者の供述が重要な証拠とされますから、痴漢の疑いを晴らすために、弁護士を通じて独自の捜査を行い、目撃者の証言やその他の客観的証拠を積み上げ被害者の証言が信用性に欠けることを説得的に主張することが肝心です。
 

2 早期の示談成立

痴漢行為をしてしまった場合でも、刑事裁判で有罪判決を受けることを回避できれば、前科がつくことはありません。

そこで、痴漢事件でも不起訴処分を受けるための弁護活動を積極的に行います。被害者との間で示談が成立しているという事情は、起訴不起訴の判断に大きく影響します。

また、強制わいせつ罪が問題となっている場合は、示談を成立させ被害者に告訴を取り下げてもらうことができれば、もはや起訴することができなくなります。

このように被害者との示談は、刑事事件において非常に効果のある弁護活動であるわけですが、一般の方が行うということは非常に難しいと言えます。被害者との示談をお考えの方はぜひ弁護士にご相談ください。
  

3 早期の身柄解放

痴漢事件で逮捕された場合でも、適切な取調べ対応をし、適切な弁護活動を受けることによって早期に身柄解放されることがあります。
具体的には、逮捕後の勾留手続に進まないように手を尽くすことが肝心です。

そのためには、できるだけ早期に弁護士に相談して適切なアドバイスを求め、釈放後の生活をサポートする身元引受人の協力を得ることが必要です。
また、弁護士のアドバイスのもと検察官や裁判官に自分がどれほど真摯に反省しているのか、どれほど更生に対する意欲があるのかを強く主張していきましょう。

 

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